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KURARAY 9

 

Story KURARAY-9
人は事実の羅列だけでは興味を引かない。
読み手にそんな義務はないからだ。
人を引き込むストーリーを探る。

冷蔵庫の広告
ではありません。

 

これはオゾン層を破壊しないノンフロン冷蔵庫をつくった人たちの話です。やさしい内容なので、冷蔵庫からジュースでも取り出して飲みながら気楽に読んでくださいね。

1時間目はまず、自然の授業です。オゾン層。頻繁に耳にする言葉ですが、まずオゾン層がどこにあるかご存じですか。それは地上から高さ約25キロあたりの成層圏と呼ばれる大気に広がっています。もっと高度な宇宙空間をイメージしませんでしたか?地上の距離で言えば時速100キロのスピードで車を飛ばすとわずか15分の近い場所で、太陽からの有害な紫外線をさえぎる役目をしています。もし何らかの理由で破壊されると皮膚ガンが増えたり作物などが枯れ死ぬなど深刻な状況をひきおこす地球の生物にとってかけがいのないオゾン層。実は私たちの頭のすぐ上で身近に存在しているのですね。次に2時間目は社会の授業です。オゾン層が知らない間に破壊されていることが20世紀末判明しました。原因は冷蔵庫などに使われてきたフロンガスでした。このままでは地球が危ない!ということで、日本でも1988年に制定された「オゾン層保護法」によって1995年末以降、特定フロンの製造ができなくなりました。オゾン層も大事ですが冷蔵庫はもはや私たちの生活には欠かせないシロモノ。さあ、どうする、人類?3時間目は科学の授業です。ここで問題です。冷蔵庫の中のモノがなぜ冷えるのか?フシギですね。例えて言うと、暑い日に水をまくと涼しくなりますよね。それは水が蒸発する時にまわりの熱を奪うからです。気化熱といいます。この気化熱を上手に利用したのが冷蔵庫です。フロンはこの気化熱のやりとりをするモノに使われていました。しかしもはやオゾン層のためにフロンは一切使えない。そこでようやく開発されたのが、炭化水素系冷媒R600aでした。ムズカシイ用語ですね。しかしなにはともあれ、一件落着!バンザイ、ノンフロン化達成!!とはいうものの、以前から対策が求められていた冷蔵庫のもうひとつの大きなフロンモンダイがありました。庫内の温度を上げず一定の温度を保つための断熱材にもフロン系の発泡剤が使用されていたのです。いろいろな断熱材が試されたものの完全な正解が見つからず、家電メーカーの研究者たちは頭をかかえていました。25キロ先の天空を日々見上げながら。4時間目は化学の授業です。地球上がフロンモンダイで揺れるずっと昔の1972年、高度なガスバリア性と低い熱伝導性を有した機能性樹脂が生まれていました。クラレの「エバール」という製品です。酸素を遮断して内容の変質と劣化を防ぐことからマヨネーズのボトルやカツオブシのパックなど食品の包装材に使用されていました(もちろん今でも)。最近ではガソリンから揮発する有害なガスの漏えいを防ぐことから自動車のガソリンタンクにも使われているのですが、当時クラレの社員たちは「エバール」の新しい用途に思いをめぐらせていました。そんな時、家電メーカーから連絡がありました。「本当に空気を通さず熱も伝えにくい素材なのか、そのエバールというのは」。さあ、お弁当の時間です。お食事中ですが、身のまわりで優れた断熱方法を採用しているモノをあげよ、と言われたら何を思い浮かべますか?答えは、テーブルの上にあります。魔法瓶です。なぜ、魔法瓶は冷めにくいのか。内と外の間に真空状態をつくっているから熱を伝導するものがないのです。なるほど!でしょ。

5時間目はもういちど科学の時間です。さて。魔法瓶からヒントを得た家電メーカーの研究者たちはクラレから「エバール」を取り寄せました。そしてレトルトパックのように「エバール」でガラスファイバーを包み、仕上げに「エバール」内の空気を抜いて真空断熱材として冷蔵庫の外壁を包み込みました。するとなんと、大幅な熱伝導率のダウンに成功!省エネタイプのオマケまでついたノンフロン冷蔵庫が完成した瞬間でした。同時にコンパクト設計や容量アップも実現しました。振り返れば一刻を急ぐ状況での努力の結晶でした。

最後にホームルームの時間です。さあ皆さん、家電メーカーの人たちに拍手!冷たい冷蔵庫には人々の熱い想いがつまっていたのですね。ところでお宅の冷蔵庫はノンフロンですか。今日帰宅したら確かめてみましょう。宿題です。

 

時代と、関係しています。クラレ

 

 

Creative Director + Copy Writer:松木圭三
Creative Director + Art Director:副田高行

 

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