Story GEKKEIKAN-1
このブランドは顧客の人生にとって
どんな意味があるのだろうかと問いただす。

成人の日は、
父の日でもあり、母の日でもある。
(という感謝。)

 

成人式から家に戻ったのは深夜だった。その日は会場でたくさんの友人と再会し、それぞれのいろいろな二十年の歳月を確かめあった。昔、豆タンクと呼ばれていた同級生はラグビーに熱中していたらしく大男になっていた。そして僕の初恋のライバルはすでに結婚して一人前に口髭まではやしていた。当時のガキ大将もいた。ケンカがめっぽう強くやんちゃな少年だったが今はすっかり落ちついてしまって神妙な表情で静かに笑っていた。お互いに慣れないスーツ姿をひやかしあったり、僕たちよりもはるかにオトナにみえる振り袖姿の女の子たちをまぶしく眺めたり、出席していなかった友だちの消息を確認しあったりして、大いに盛りあがった。式が終わるとそのイキオイで、皆で町へ繰り出し大手を振って何軒か飲み歩いた。僕はハタチをむかえたうれしさと解放感と、おもいがけない旧友との再会から、有頂天であった。そして、すっかりよい気分になって帰宅した。家の者たちはもうすでに眠っているらしく手探りで部屋のあかりをつけた。すると食卓の上には一升瓶と「おめでとう。父・母より」と書かれた一枚の手紙があった。突然どすんと頭を殴られた気がした。身勝手であいかわらず幼い我が身がとても恥ずかしく悲しかった。今日は自分ひとりの日ではなかったのだ。父と母に心の底で、僕は何度も何度もありがとうとつぶやいた。

 

こういうシアワセには、日本酒です。

Creative Director + Copy Writer:松木圭三
Creative Director + Art Director:黒川栄治